一方通行の片道切符
今日は、色々な偶然が重なっていた。
女性達は買い物へ。
國卒はサボりすぎだと叱られ休日返上で強制出勤。
一京は寺へ荷物を届けに。
蛹、鬼-BE、星のひと、お狐様は河原へ散歩。
虧兎は三ヶ月前から行方不明。だが定期的に電話連絡が来る。そろそろ帰って来る予定らしい。
そんな偶然が重なりに重なって、極卒とロマンスは二人ぼっちなのでした。
それでも、二人は一緒にいるわけでは無かった。
極卒は極卒で和室に山ほどある洗濯物を畳んでいて、ロマンスはロマンスで居間のコタツの中でゴロゴロしていた。
「極卒〜暇だ〜かまってくれよ〜」
「そんな事言っているなら、洗濯物畳むのを手伝ってくださいよ。僕は暇じゃないんですから。」
「チェ…じゃあ畳んだらかまってくれよ?」
「はいはい…」
ロマンスはノソノソと極卒の隣に移動すると、余りやる気無さそうにノソノソと洗濯物を畳み始めた。
それから十数分後に全ての洗濯物を畳むことが出来た。
「終わったぞ極卒!さぁさぁ遊ぼうぜ!」
「約束ですからね〜で何するんです?」
「そうだな〜…」
ロマンスは考えながらチラッと極卒を見た。
極卒は少し目を輝かせながらじっとロマンスを見ていた。
ロマンスの頬が少しだけ紅くなった。
「……なぁ極卒〜」
「何です?」
「好き。」
ロマンスの予想外の答えに、極卒は少し不意打ちを喰らった顔をした。
………が。
「へぇ〜一体何が好きなんですか?トマトですか?」
「ちっがぁぁぁう!!!トマト好きなのはウーノって人だろぅ?!俺が好きなのは極卒だっ!!」
「空き?お腹が空いたのですか?」
「違うって〜…なぁ…本当は解ってるんだろ?」
「何がです?」
極卒が面倒になったので部屋から出ようとすると、ロマンスはフライングボディアタックを喰らわせ極卒を倒した。
………無論、ロマンスも極卒の上に倒れたのだが。
「痛たぁ…ロマンス!!何をするんですか!!」
「だって極卒が解ってくれないからさ!!こうなったら容赦しないからな〜!!」
「止めてくださいよ!!…きょっ…きょひょひょ!!」
ロマンスは、極卒の上に乗ったまま極卒の脇腹をくすぐった。
基本的に極卒にくすぐりは効かない。
が、脇腹だけは弱いということを、ロマンスとなのこと鬼-BEと星のひとだけは知っていた。
「ロマ…ロマンス!きょひょ…止めてくださいよ!!ひょひょひょひょひょ!!!」
「嫌だ〜解らないふりをする極卒にはこうだからな〜ほらほら。」
「っ…!!きょひょ…ひょ…ひょひょ!!ひょーひょっひょっひょっ!!」
極卒はロマンスのくすぐり攻撃に少しだけ耐えてみたが、やはり我慢出来ずに笑ってしまった。
そんな極卒を見てロマンスは、「やっぱり極卒が好きだなぁ…」とか思っていたのだった。
が。
こういう時に限って不幸が舞い降りるわけで。
ガララララ…
「ただいま〜(一京」
「今帰ったぞ極卒〜(國卒」
「ただいまぁ(なのこ」
「あ〜重たい!(椿」
「沢山買いマしたネ(壱ノ妙」
「こういう時に買わないと!(ツミ子」
「そうね(蝶子」
「お狐様!また行こう!今度は極卒お兄ちゃんも一緒に!(蛹」
「そうだねぇ〜今度誘ってみようかね(お狐様」
「ゴーポゴポ(楽しかった)(鬼-BE」
「…………(同じく)(星のひと」
「やぁっと帰ってこれた〜ただいま極卒ぅ!!(虧兎」
なんと、外出組が一斉に帰宅してしまったのだ。
いつもなら玄関に来てくれる極卒が来ないので、全員不審に思い中に入ると…
「どうだ!参ったか〜!!」
「ひょー!降参!降参します!!ひょーひょひょひょひょひょ!!!」
和室でロマンスが極卒に馬乗りしながらくすぐって苛めている(?)じゃないか!!
そんな光景を見た全員は、静かに静かにぶちギレしたのだった。
「ハァハァ…あっ!皆さんお帰りなさい!」
「お〜お帰りよ。早いじゃん。」
その体勢のまま、極卒とロマンスは皆にお帰りと言ったのだ。
極卒だけなら嬉しかったがロマンス…お前はいらない。
という心の声が聞こえそうなくらい、皆様ふるふると震えていた。
もし、この場に極卒が居ない、もしくは寝ていたりしたら…容赦なくロマンスは私刑にされていただろう。
最初に仕掛けたのは國卒だった。
「………ただいま極卒。ちょっと僕達はロマンスに用事があるから…ちょっと借りていいか?」
「え?はぁ…いいですよ。」
「ありがとう極卒。」
極卒からの許可を得ると、蛹、お狐様、鬼-BE、星のひと以外はロマンスの首根っこを掴んで隣の部屋に引き摺って行った。
それから数十分間、ロマンスの悲鳴が響いた。
一方、平和組が残った和室では…
「あのね極卒お兄ちゃん!お狐様がね〜…」
「それは良かったですねぇ。」
「今度は極卒お兄ちゃんも一緒に行こうよ!!」
「もちろんですよ。楽しみですね。」
「良かったのぅ蛹。極卒も今から楽しみじゃて。」
「うん!!」
「…ソノ時はオレも一緒にイイカ極卒?」
「良いですよ。あれ…鬼-BE、いつの間に擬人化したんです?」
「イマさっきダヨ。」
「僕も行くよ極卒。極卒が行くなら僕も行く。」
「星のひともいつの間に…。でも良かったですね蛹。今度は僕も混ぜて、皆で行きましょうね。」
「うん!!」
極卒に頭を撫でてもらい、嬉しそうに微笑む蛹。
居なくなってしまったお母さんと良く似ているが…何処か違う温かさに微笑む。
「ねえ極卒お兄ちゃん。お兄ちゃんは僕が好き?」
「もちろんです。僕は蛹が大好きですよ。」
「…僕もね、極卒お兄ちゃんが大好きだよ!」
それから、平和組は和室に布団を敷いて昼寝をした。
ロマンスの悲鳴を聴きながら寝たのでした…。
THE END
実は蛹も極卒に片おm…ゲフゲフ。
ロマンスは皆から地獄への片道切符をお土産にもらいました。
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